じゃそれで(Up to you)

オーストラリアで旅をしながらお仕事をする生き方を実践しています。

【1日目】ケアンズ→タリー→カードウェル→タウンズビル

【朝食】シリアル、ジョセフィーナ作パンケーキ

【昼食】タリーのバナナ3本

【夜食】タリーのバナナ1本、レーズンパン1枚、洋梨、コーヒー

 

 

 

これまでは前日の内容を日記に書いていたが、今日からは夜の時間が長くなるためその日あったことを書いていくことにする。それに伴い、毎日の食事などについても記録していこうと思う。

 

 

 

 

 

 

 


さて今日はいよいよケアンズからシドニーへ出発する日だ。たった24日の滞在だったが、誰かがいる家に帰るというのは僕にとって心の拠り所となっていたことは間違いない。これからは本当に一人となる。

 

 

 

いつも通りの時間よりも少し早く目を覚まし、朝食を摂った。ジョセフィーナはしきりにトーストを勧めてくれたがこの日はシリアルの気分だったので遠慮しておいた。

 


シリアルだけでは足りないだろうと心配してくれたのか、クレープほどのうすさのパンケーキを二枚作ってくれた。何もつけずに食べたけれど甘みがあって美味しかった。

 

 

 

僕は頃合いを見てジョセフィーナに礼を言った。真剣に伝えたつもりだったが、ベテランホストマザーであるジョセフィーナの方は「別れ慣れ」をしているのか、割とさばさばしていてそれがまた彼女らしいと思った。どちらにせよもう一度、この家には寄らなければならない用事もあったためこの日の別れはあっさりとしたものとなった。

 

 

 

 

ジョセフィーナは先に家を出て、家には僕と寝ているラッセルだけとなった。ラッセルにも挨拶をしようか迷ったが、昨日一度別れを伝えていたので今日はやめておこう。気がかりはジョンに挨拶できていないことだった。昨晩も今朝も彼には顔を合わせていない。仕事の時間によってはそうなることが割とあった。そしてよりにもよって今日がそういう日だった。

 

 

 

 


荷物をまとめ、バスの時刻に合わせて家を出た。いつも身につけていた鍵は自室に置き、室内からノブの鍵を閉め、玄関の扉を外から閉めた。これでもうこの家には入ることはできない。そう思うとすこし寂しく感じた。

 

 

 

 

 

 

バスに乗り、レンタカー会社の最寄り駅であるケアンズセントラルまで向かった。普段と違い、ボディバッグにリュック、キャリーケースを携行しているのでかなり動きづらい。レンタカー会社がケアンズセントラルから近いことが救いだった。

 

 

 

 


レンタカー会社に着くと、すでに客が数組おり自分の順番を待った。諸々の手続きを済ませ、いざ出発だ。実はここで契約確認や車の確認などで1時間ほどを要したのだが、ここでは割愛する。

 

 

 

 


車を手に入れた僕はひとまず数日間の食料を買い込みにウールワースへ向かう。安くて長持ちするものを基準として以下のものを購入した。

・レーズンパン 一斤 $2

洋梨5個 $2.4

・リンゴ5個 $2.5

・水4L $4.5

・パスタ乾麺 $0.6

・パスタソース $3

・インスタントコーヒー10回分 $3

 


これだけあればしばらくの生活は困らないはずだ。ちなみにパスタやコーヒーは計画段階では買うつもりではなかったのだが、今回借りるキャンパーバンの中にコンロが付いていたため急遽購入することにした。

 

 

 

 


買い物が終わり、出発する前にコンセントを確認した。説明を受けた時に聞いたコンセントからはどうやら電気が供給されていないようだ。色々といじってみたが結局、どうすれば電気が供給されるのかわからず一度、会社に戻ることにした。

 


話を聞くところによると、キャンプサイトで車に電源を繋げてもらわなければならないらしい。その代わりにシガーソケットからUSB端末につなげる充電器を貸してもらった。これで何とかスマートフォンは充電ができる。パソコンに繋げられないのが残念だが、日記を書くことぐらいにしか使っていなかったのでこれからはスマートフォンで記すことにしよう。

 

 

 

 


気を取り直して車を出発させた。すでに時間は13時になっていた。今日はどこまで行けるだろうか。

 

 

 

この旅では、ケアンズからシドニーまで国道1号線のみを通ることにしていた。どうやら世界で最も長い国道として有名なようだ。なにやら戦前か戦後に国の公共事業として作られたのがこの道路らしい。大量の失業者に仕事を与えるための国策事業で、初期の段階では全て手作業でこの世界一長い国道を作ったとのことだ。今ではそんな手作り感は一切伺えず、かなり綺麗な道路である。

 

 

 

さすが世界一長い国道だ。どれだけ走っても雄大アウトバックと左右のさとうきび畑の風景が変わらない。数時間走り、退屈になってきた頃、徐々に景色が変わり始めた。かなり南国チックな様相を表している。

 


3mほどの木にビニール袋で包まれたなにかが吊るされている。そんな畑らしきものが延々と続く。国道の表示を見るとなるほど「タリー」と書かれている。このビニール袋の正体はバナナだ!

 


タリーはバナナ農業が盛んな土地だ。ワーキングホリデービザでファームに従事する多くの人がタリーでバナナを摘んでいるのではないか。僕は路肩に車を止め、バナナの無人販売所で4本のバナナを1ドルで購入した。食べてみると新鮮なことはわかったが甘みは少ない。熟しきっていないのが原因だろうか。しばらくタリーを走っていると道路にいくつかバナナの皮が落ちている。僕と同じように路上販売で買った者が窓から投げ捨てているのだろう。僕は思わずマリオカートを思い出して噴き出してしまった。

 

 

 

 

 

 

タリーを過ぎ、またしばらく国道を走ると急に視界が開け左手に海が見えた。カードウェルという場所のようだ。

路肩に車を止め海沿いに向かう。ただ注意看板に「クロコダイル注意」と書かれているのに気付き、砂浜まで行くのはやめた。

 

 

 

浜から海に100メートルほど突き出した橋があったので橋の上を歩くと、下の砂浜で少年がなにやら網を海に向かって投げている。橋の上から少年を応援していた老人に何を取っているのか聞くと、どうやらエビのようだ。

 


少年は浜から3メートルほど先の海面に向かって網を投げる。そしてすぐに引き上げる。取れるときは3匹ほど。ただなかなか取れないようだ。

 


僕は老人と会話をすることにした。

 


「この辺り、クロコダイル出るんですよね?あの子大丈夫ですか?」

「沢山いるよ。でもアボリジニの子はあんまり恐れないね」

「ああ、アボリジニだったんですね、あの子。しかし上手に取るもんですね。」

 

 

 

そんな会話をしていると、少年が後から来た友人と海面に向かって何やら叫んでいる。海面に目をやると大きい背ビレが突き出しているのが見えた。映画のジョーズで見たものとそっくりだ!

 

 

 

僕は先ほどの老人にその正体を尋ねた。ハンマーヘッドシャークだという。そうこうしていると少年が猛ダッシュで橋の先までかけていき、何かを手に取り海面に投げた。僕は少年に何をしているのか問うた。どうやら少年はハンマーヘッドシャークを釣ろうというのだ。僕はどうやらかなり面白い事態に遭遇したようだ。

 

 

 

しかしいつのまにかハンマーヘッドシャークは姿を消してしまっていた。少年は諦め、別の竿を出して今度は魚釣りに興じ始めた。僕は少年達に別れを言い、再び車を発進させた。

 

 

 

時間は5時頃。まだまだ明るいがそろそろ野営地を決めなければなるまい。ここから最も近い都市は「タウンズビル」だ。名前は聞いたことがないが、大きな縮尺の地図でも名前が載っているので意外と大きな街かもしれない。町に入ると野営は難しくなるので、タウンズビルで給油をした後、通り過ぎてすぐの場所に野営地を探すことに決めた。

 

 

 

タウンズビルに着いた頃にはすっかり暗くなってしまっていた。未だにオーストラリアの距離感には慣れおらず、近そうに見えてかなり遠いということはよくあることだ。

 


街を走ると瀟洒な建物が沢山ある海沿いの町であることがわかった。日本で言えば神戸に似ているかもしれない。古風な洋館がお洒落にライトアップされていたり、海沿いにはネオンが輝くバー街がある。

 


野営地探しを優先しなければならなかったので、僕は手早く給油を済ませることにした。日本と同じようなセルフ式で、カードの読み取り機が壊れていたため支払いだけ店内で行われた。海外のガソリンスタンドは自動で給油が止まらないという噂を聞いていたので心配していたがどうやらオーストラリアは自動で泊まるようで安心した。

 

 

 

給油を済ませると国道1号線に戻り、野営地を探した。これまでの道にはいくつかあったのだが何故かこういう時には見つからない。暗い夜道には野生のカンガルーが出ると友人から聞いていて、それはオーストラリアンジョークだと思っていたが車旅に出てから「カンガルー飛び出し注意」の看板が多々あり、冗談ではなくなってしまった。そんなこともあり早く見つけたいのだが、なかなか見つからず結局タウンズビルを出てから50kmほど走ったところでキャンプサイトを見つけることができた。この日の運転はここで終わりだ。ケアンズから426kmの地点だった。明日からはもう少し距離が伸びるだろう。13日間の猶予があるのでそんなにストイックに運転しなくてもいいのだが。全2000kmの行程、シドニーで時間を潰すことは難しそうなのでどこかで緩急をつけねばなるまい。

 

 

 

 


キャンプサイトでは、時間帯によっては無料でコーヒーが振舞われているらしい。ここはどうやら政府運営の場所のようだ。明日の朝にでも飲めることを期待しよう。

この日はパスタを作るのが億劫だったので、洋梨とレーズンパンを齧りながらコンロで熱湯を作りコーヒーを飲んだ。

 


コップを洗い、他にいたキャンパーに話しかけてみた。どうやらブリスベンに帰る所のようで、ここから13時間ほど掛かるらしい。ケアンズからシドニーまでの中間地点がブリスベンとなる。ここから13時間というと二日ほどかかる行程になりそうだ。

 


その後は車に備え付けのベッドをセットして寝転びながら日記を書くことにした。すぐ横の国道を走る車の走音を聞きながら眠るといよいよキャンプという感じがして来た。

 


明日は地図を見る感じだとロックハンプトンがゴール地点になりそうだ。今日はあまりゆっくりと街を見られなかったので明日は早めの時間にドライブを切り上げ、探索をしてみよう。

 

タウンズビルの夜景)

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ハンマーヘッドシャークを狙うアボリジニの少年)

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(13日間、僕の相棒となるキャンパーバン。タリーの無人バナナ販売所にて)

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