【ダーウィン1日目】静かな湖畔っぽい教会マリーズバイザシーに感動しまくった出発日
【1日目】ケアンズ→パームコーブ→ポートダグラス→ディンブラー
いよいよ今日はケアンズからダーウィンへの2800kmの旅の始まりの日だ。
この旅ではオーストラリアの語学学校で知り合ったユキノと一緒に旅に出ることになっていた。またこれからの日記で彼女については書いていきたい。
バックパッカー宿で朝8時のチェックアウトを済ませ、待ち合わせのレンタカー屋に向かう。
実はこの8月という時期はレンタカー屋がとても忙しい時期だ。そのため普段は乗り捨てができるレンタカー会社でもこの時期だけは借りた場所に返さなければならないというところがほとんどだった。
そのためこの日は朝からケアンズで借りてダーウィンで乗り捨てをさせてもらえるレンタカー屋を何件か当たる必要があった。
待ち合わせはTHIRFTYというレンタカー屋。ここに来る途中に趣旨不明のパレードに出くわした。
僕が「何してんの?」と聞くと、おじさんたちは「シーファミリーマーチ」だがなんだかよくわからないことを言っていた。
ノリの良いおじさん達から旗を受け取って僕も少しだけ振って歩いた。
これは後からわかったことだが、ケアンズで猛烈に建設させていくリゾートホテルへの反対運動だったらしい。
このダーウィンへの出立の直前、母親がケアンズに来ており悠々とリゾートホテルで生活していた僕は、先程旗を振って歩いたことを思い出して笑ってしまった。
ケアンズは観光業で成り立っている街だ。ワーキングホリデーで来た外国人だけでなく、地元の人も沢山観光業で生計を立てている。
観光に最適化されたケアンズの街は綺麗でとても暮らしやすい。
僕の住む宇治も宇治橋を中心として綺麗に作られている。しかし一方で観光向けに作られた街は自分の地元ではない偽物感を感じる。
シーファミリーマーチのおじさん達も作られていく偽物感に抵抗していたのかもしれない。
THIRFTYの前でユキノに会い、僕らは店内に入った。案の定、乗り捨てはできないと断られてしまったが、乗り捨てができそうなレンタカー屋を教えてもらった。
昨日にあらかじめ乗り捨てできなかったレンタカー屋を除き、まだ行っていなかったAVSという店に向かった。
このAVSの前でホテル建設が行われており、先程のパレードが大声で叫んでいるのが見えた。
店内でスタッフのおじさんにダーウィンで乗り捨てできるのかを聞いた。するとおじさんは目をひん剥いて僕にダーウィンへの遠さや三日間で行こうとしていることの無謀さを懇々と語ってくれた。結果、やっぱり乗り捨てはできないとのことだった。
ここらのレンタカー屋さんは親切心なのか、「乗り捨てできるか否か」ではなく「ダーウィンは遠いからやめとけ」という話から入ることが多かった。そのお節介感と優しさの入り混じった感じがなぜか微笑ましかった。
最終的に留学エージェントから「この街一番のオンボロレンタカー」と太鼓判を押されている「イーストコーストレンタカー」という場所に行き着いた。
ここで僕達は780ドルを払い、11日間借りることになってしまった。なってしまった、というのはどうやら1日に走って良い距離が250kmとなっているらしくダーウィンまで行くのであれば11日間レンタルする必要があったのだ。そして乗り捨て代が250ドル。なかなか高くついてしまった。一人で行くことになっていたらと少しゾッとした。
早朝から動き出していたものの、結局出発は昼過ぎになってしまった。出発に際してサラとジュンゾーが見送りに来てくれた。そして同じくサラとショウゴがお別れの動画を撮ってくれた。
車を手に入れた僕達はひとまず食料買い出しをする。ケアンズセントラルのスーパーマーケットで最低限の食料を購入した。レーズンパン、豆乳、コーンフレーク、水。これだけあればダーウィンまで持たせることができるだろう。
買い出しを終えて僕達はまずパームコーブに向かった。ここはケアンズと同じようにシーサイドリゾート地だ。
ケアンズからパームコーブまでは約一時間ほど。国道一号線をシドニーへ向かった方向とは逆に北上していく。
やたらとサークル(交差点)の多い道路を戸惑いながらパームコーブになんとか行き着く。
パームコーブに行きたがっていたユキノの海に対する第一声は「海、汚っ」だった。
どうやら風が強く海水がだいぶ濁っているようだ。車を止めて外に出ると帽子が飛ばされそうなくらい風が強かった。
風は強いが、海沿いの街はシルバニアファミリーの家が並んでいるような感じで可愛らしい。いつかこんなホテルにも泊まってみたいと思ったが、一泊数万円するらしいので忘れることにした。
防波堤の先に行き、フィリピンのお土産である夫婦人形を使って友人の結婚式で流すお祝いの動画を撮影した。
その後、予定にはなかったが近くだということでポートダグラスへ向かうことに。ここもリゾート地らしく、埠頭には有名な教会があるようだ。日本人もここで結婚式を催すらしい。その教会の名は、「セントメアリーズ・バイ・ザ・シー」という。
ポートダグラスはしっかりとおみやげ屋通りがある歴とした観光地だった。
ポートダグラスにつき車を降りると、内海だからか風が弱く、日差しが優しい。波が穏やかでまるで湖畔のようだった。
そしてその湖畔の先に立つのは「セントメアリーズ・バイ・ザ・シー」。事前情報が全くなかった僕はその教会が意外と小さいことに驚いた。
中に入ってみると、聖台の後ろにある、正面の大きな窓からポートダグラスの海が見えた。その美しさは筆舌で表せられない。
教会自体は30人くらいほどでいっぱいになりそうな教会だ。小鳥などをあしらったステンドグラスがいくつかあり、それが白を基調とした教会内部に彩りを添えている。とても素敵な教会で、日本人がわざわざここに来て結婚式を挙げる気持ちも理解できた。
教会と湖畔のようなポートダグラスの海を見ると、僕達は日暮れ前に山越えをするためにいそいそと出発した。
明日は鍾乳洞の有名なチラゴーへ行く予定だったので暗くなるまでにできるだけ接近しておきたかった。
そして山の中腹に至りあることに気づく。ガソリンが空になりかけているという事実だ。こんな山の中でガス欠になってはたまらない。
急ぎ近くのガソリンスタンドに行くが、すでにしまっていた。僕達は近くのガソリンスタンドを検索し、一か八か7kmほど離れたガソリンスタンドに行くことにした。
しかし行けども行けどもガソリンスタンドがない。15kmほど来たところでなんとかたどり着き、給油を済ませた。初日からこんなことでは先が思いやられる。
そこでトイレを借りるために、なぜかおたまに結び付けられたトイレの鍵を受け取りトイレを済ませ再びチラゴーに向かうことにした。
なんとか山を日暮れまでには越し、本日のキャンプサイトを探す。シドニー行きやパース行きの時と違い、細い道だからかキャンプサイトがなかなかなかった。
ようやく山を越してから一時間ほど走った場所でディンブラーという町というには寂しい雰囲気の場所で停泊場所を見つけた。
灯りがほとんどないためか、そこで見た空はこれまで見て来た夜空の中でもとても美しかった。天の川がとても大きく見えた。
この日は夜食を簡単にフルーツとレーズンパンで済ませ就寝した。