じゃそれで(Up to you)

オーストラリアで旅をしながらお仕事をする生き方を実践しています。

【ダーウィン4日目】クレジットカードを失って大返し139kmのスチュワートハイウェイ

【4日目】グレゴリーダウン→ウォーウマング

 

 

 

満点の星空での車中泊をした前日夜からこの日の朝にかけて僕はあまりの寒さで5度ぐらい目が覚めた。横を見ると熟睡しているユキノがいて、この寒さでよく熟睡できるものだと感心をした。

 

 

 

 


5度目に目が覚めた頃、ようやくあたりが白んで朝を迎えたことに気づいた。キャンプサイトで寝ている人たちの邪魔にならないように僕達はこっそりとヒュンダイのエンジンを掛けて、キャンプサイトを出た。

 

 

 

昨日夜中に冷水を浴びたシャワー室の近くでエンジンをしばらくアイドリングさせながら暖房をかけて車内を温めたのち、朝食のコーンフレークとホットチョコレートを食べた。

 


腐らないと思っていた豆乳はドロドロになっており、味も酸っぱくなっていた。それでも僕は気にせず食べた。さすがにユキノは何口か食べて後は捨てていた。ちなみに腹痛はまだ来ていない。

 

 

 

これまでの道路で砂だらけになったヒュンダイにホースで水をぶっかけて綺麗にした後、僕達はグレゴリーダウンを後にした。

 

 

 

 


この日僕達はケアンズやグレゴリーダウンのあるクイーンズランド州から、ダーウィンエアーズロックのあるノーザンテリトリー州をまたぐことになる。

 


第一の給油ポイントは、そのノーザンテリトリー州に入る手前の町「カムウィール」だ。グレゴリーダウンからひたすら舗装されていないルート76をユキノが走らせた。

 


あの悪路ルート27ほどの溝はないが、76も轍が深めに刻まれておりハンドルが取られそうになる。そしてタイヤ跡を追いながら走ると、タイヤ跡とタイヤ跡の間にできた山に車の腹が擦れる。車高の高い車であれば問題ないだろうが、ヒュンダイのコンパクトカーは全く適していない道路だ。

 

 

 

そんなルート76を二時間ほど走らせた頃、分岐点が出てきた。給油ポイントであるカムウィールに行くにはルート76が最短距離なのだが、昨日キャンプサイトで出会った親父によると、この地図にも薄白く線が引かれているだけの名もない道路が舗装されていて安全だということだ。この道で僕達は国道A2に入ることができる。ちなみにカムウィールもこの国道A2上にあるため、多少遠回りになるが安全策を取ってルート76を外れることにした。

 

 

 

親父の情報は正しかったようで分岐点を超えたところから補正された道路となった。僕達は胸をなでおろして一路カムウィールに向かった。

 

 

 

 


グレゴリーを出て四時間後、僕達は250km離れたカムウィールに到着した。町に入る直前に「人口331人」と書かれた看板があったのが見えた。相当小さな町だ。

 


町はパースやシドニーに行った時に途中でよく見たようなガソリンスタンド、スーパーマーケット、モーテル、少しの住宅で構成されているところだった。このような場所は大抵ガソリンが高いのだが、次の給油ポイントははさらに田舎の町になりそうなためフルタンクにしておくことにした。ここで1リットル1.78¢だ。

 

 

 

お金を払うついでに僕は店員にこの辺りのことを聞いて見たが、「何もないよ」と一蹴されてしまった。それでももう少し聞いてみると景色の綺麗な山があるということだった。

 

 

 

ガソリンスタンドに行った後、僕達は隣のスーパーマーケットに入った。やはり全てのものが高い。

ケアンズのマーケットならば1kg $1~2で買えるマンダリンオレンジが、1kg $10。ポテトチップスは $4。赤ちゃんのおしりふきも同じ値段だった。しかしスキムミルクと牛乳だけは $1.7と、大型チェーンスーパーマーケットと同じぐらいの値段だった。ユキノは「賞味期限の早いものは安く売ろうとしているんだ」と推測していたが、果たしてどうか。

 

 

 

 


カムウィールでの物価の高さに打ちのめされ、僕達は車内でコーンフレークや食パンなどあり合わせのものを食べることにした。

 

 

 

そういえば前回の旅でも同じ現象が起こったが、このように質素な食事をしていると贅沢なご飯を思い浮かべても現実離れして食欲が湧かなくなって来るのだ。ステーキやハンバーガー、フィッシュ&チップスなどを想像してもあまり実感が湧かない。

 


ではどのようなもので食欲が湧くのか。それはコーンフレークや食パン、フルーツなど現実的に食べることのできるものばかりなのだ。まあ、カムウィールではフルーツを食べるには至らなかったのだが。

 

 

 

 


そういうわけで僕達は昼食と洗い物を済ませて、僕の運転でいざノーザンテリトリー州へ州越えを決行した。

 


以前シドニーからパースに向かう際、ニューサウスウェールズ州から南オーストラリア州南オーストラリア州から西オーストラリア州へ移る時はなけなしのリンゴを検疫で取られたのだ。

 


そういうわけで今回は検疫対策で購入するフルーツを最低限にしていた。

 


カムウィールから約一時間ほど走っていくとナビ上でもうすぐ州越えをすることがわかった。しかしそれらしき検問所は見当たらない。どこだろうかと探していると、左側に「撮影スポット」の標識があり、その刹那、僕達は「ウェルカム ノーザンテリトリー」の看板を通り過ぎた。検問所も検閲も何もなかったのだ。

 

 

 

なんだか腑に落ちない気持ちがあったが仕方なくしばらく運転を続けた。この付近の法定速度は時速130kmまで上がっていた。

 


広い道路、左右には限りなく広がる草原。そしてたまに落ちているワラビーの死体と牛の群れ。全く変化のない景色ほど辛いものはない。僕はほぼ瞑想に近い状態で運転を続け、その瞑想効果がユキノに伝わったのか彼女はいつの間にか眠りに入っていた。その眠りも僕の運転ミスによる超光速蛇行運転で破られてしまったのだが。

 

 

 

 


そんなこんなでカムウィールから三時間ほど走らせて、給油ポイントのバークリーに着いた。ちなみにこの時は地図上に乗っていたテーブルタウンという場所を目指していたが、昨日のプラネットダウン同様無くなっていたのか、見つからなかった。

 


バークリーはこんな田舎のガソリンスタンド兼レストランの割に、と言っては失礼だがかなりお洒落で綺麗な造りだった。全体がシックな黒色で木造だった。そこで僕達はガソリンを入れ、一つ $10もするハンバーガーやサンドウィッチに後ろ髪を引かれながら、持ち合わせの食パンにチョコクリームを塗ったものを食べて出発した。ただこのチョコクリーム食パンはかなり美味い。旅に出るとコーンフレークとチョコクリームパンとフルーツがあれば生きていけるんじゃないかと錯覚する。

 

 

 

 


バークリーの次の目的地はいよいよダーウィンにまっすぐに続くスチュワートハイウェイ上のスリーウェイズという場所だ。ここに着けばダーウィンまでの距離が1000kmを切ることとなる。この日僕達はこのスリーウェイズへ二度寄ることとなるのだが、その時の僕達はそんなことを知る由もなかった。

 

 

 

バークリーから約二時間ほどをユキノの運転で走る。彼女はあまりの景色の変わらなさに「飽きた、飽きた」と連呼していた。確かにオーストラリアの景色は何百キロも変わらないのだ。だからこそたまにある美しい景色に目が惹かれるということもあるのだが。

 

 

 

 


そんなこんなで僕達はスチュワートハイウェイを入り、数百メートル運転したところでスリーウェイズに入る。給油を試みたが188¢と高値のため、ここで給油する代わりに次のレナースプリングスで給油することにした。

 


ここでユキノが、フリーキャンプサイトが分かる「wiki camp AU」というアプリと、給油ポイントとその価格がわかるグーグルの「fuel map Aus」をダウンロードした。wiki campの方はグレゴリーの親父に教わったものだ。

 

 

 

このアプリでガソリンの値段を調べるとやはりダーウィンに近づくにつれ安くなっていく。そのためこれからは次の給油ポイントまでに必要最低限のガソリンを入れ、継ぎ足していく作戦を取ることにした。

 

 

 

 


スリーウェイズで少し休み出発することにした。出発前に大人二人が真剣に $5のポテトチップスを買うか悩み抜き、買うことにした。もはや金銭感覚は月額お小遣い制度を採る給料日前の小学生のようだ。

 

 

 

ポテチを抱えてうきうきで次の給油ポイント、レナースプリングスに向かう。今日は早めにここでゴールをして車に付属しているテントでも建てて優雅にパスタでも作ろう。そんな思いで、僕は車を法定速度の130kmでぶっ飛ばした。レナースプリングスへの道は高低差が激しい道もあり、高台に登ると広陵地帯が眺められ綺麗だった。レナーの手前にはエアーズロックを縮小したようなものもありドライブはとても楽しかった。

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スリーウェイズから約一時間ほど運転するとレナーが見えてきた。ここではキャンプだけでなく、フリーのホットシャワーも浴びられる。

 


僕達はさっさと給油を済ませようとガソリンスタンドに寄るとなぜかクレジットカードが、ない。車内を隈なく探したがやはりないのだ。僕としたことがまたカードをなくしてしまったのか。

 

 

 

一縷の望みをかけ、スリーウェイズのガソリンスタンドに電話をかけるとそこにあった。僕達はポテチを買った嬉しさでカードを置き忘れてしまったのだ。

 

 

 

そうとなれば取りに行かねばならない。あのカードには僕の全オーストラリアドルが入っているのだ。暗くなる前にスリーウェイズに着くため、僕達はすぐに出発した。

 

 

 

レナーからスリーウェイズまでは139km。130kmで飛ばして約一時間ほどだ。夜間になればなるほどワラビーが飛び出してくるリスクが高くなる。もうワラビーを轢くことは御免被りたい。

 

 

 

走行中、約500m先に大きな竜巻のような砂埃が道路上に見えた。止まってみるとどうやら車が道路上の穴にタイヤを取られ事故を起こしてしまったらしい。砂埃が去り、運転手たちの無事を確認するとまた再出発させた。

 

 

 

 


空が真っ暗になる頃、僕達はスリーウェイズに戻った。気の毒そうな顔を向ける店員からカードを受け取り、そこで給油を済ませた。今日はさすがにもうレナーには戻れない。途中地点、ここから45km先のフリーキャンプで今日は眠ることにした。

 


若干の休憩を取り、アドレナリンがまだ出ているうちにスリーウェイズを発った。それから約30分後、無事にフリーキャンプに着く。数台のキャンピングカーが停泊していたがすでに時間は8時半ごろで静かなものだった。

 

 

 

相変わらず星空は綺麗で、それを見ながら今日の疲れを癒しつつこの日はコーンフレークを食して早々と休むことにした。

 

 

 

ちなみにこの日はシャワーを浴びる予定だったのだが、結局カード事件のために浴びることができなかったためドライシャンプーを試してみた。以前、美容室で働いていたユキノにしてもらったが気持ちいいというよりはこそばゆかった。後、冷却効果があるのか寒かった。しかし土を大量に孕んでいるはずの髪の毛はサラサラになった。