じゃそれで(Up to you)

オーストラリアで旅をしながらお仕事をする生き方を実践しています。

スモーキーという猫

ケアンズの空はとにかく大きい。文化的な部分で心が揺れることは少ないが、ふとした瞬間に気づく空の広さにはっとすることがよくある。

土地を持て余しているのであろうこの都市には3階建ての建物はマンションやホテルぐらいのものだ。後はほとんどが一階から二階建ての建物ばかりだ。それゆえ視界を遮る建造物も少なく写真を取ると空の割合がかなり大きい。

それに関係するのかしないのか、雲がかなり広大だ。広い空と大きな雲。文字にすると小学生でも書ける表現でしかないのだが、それぐらいシンプルに大きいのだ。

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自転車生活二日目。僕は朝食と着替えを済まし、学校に向かった。朝は涼しく自転車を漕ぐのにもちょうど良い気候だ。

 

この日僕は登校途中にフィッシュマーケットへ再訪しようと決めていた。昨日訪問した際は閉店間際だったため、海老似の生物とシャケの切り身しか置かれていなかった。朝はもっと様々な種類の魚が売られているというので今日はそのリベンジをしようというのだ。

 

しかし今日もまた失敗だった。店の開店時間は8時。僕が訪問したのは8時過ぎ。魚が並べられるであろう棚の上には未だ氷しか置かれていなかった。今度は早すぎたのだ。つまり今日に至っては謎の海老生物すらもお目にかかれなかったのだ。もはや僕がこの市場で魚を目にすることはないだろう。

 

 

僕は自転車にまたがり学校へ向かうことにした。日が昇るともはや自転車を漕ぐには暑い。若干の汗をかきながら学校へと到着した。最初は40分ほどかかっていた自転車での道のりも、今日となっては30分ほどまで短縮することができていた。

 

 

 

僕は学校に着きラップトップを広げ、昨日の日記を書くことにした。変化の乏しい毎日のように思えたが、書いてみると文量については多くなる。面白い内容かどうかはこの際気にしない。ただこうして日記をルーティンにすることが、毎日新しいことをしてみようという気持ちを起こさせた。今日は何をしようか。

 

 

授業時間1分前になり、僕はクラスへと向かう。この日はみんなでジャスティン・ビーバーのデスパシートやブルーノ・マーズのトレジャーを熱唱したり、小躍りしたりした。クラスの半数が南米系の人たちなのでクラスの雰囲気はやはりそんな色になる。若干引き気味のアジア系と馬鹿騒ぎする南米系という国際的な構図ができてしまっていた。僕が南米系に所属していたことはいうまでもない。

 

このように書くと遊んでばかりいるように見えるが、それ以外はいたって真面目に授業を受けている。今日は過去分詞形の基礎固めをしていた。

 

 

放課後はやるべき作業をカフェテリアで一つ片付けた。というのも入国した際にしておくべき在留届をまだ提出していなかったのだ。オーストラリアにいる際、もとい他国でも出すべきなのだろうが3ヶ月以上の海外滞在をする場合はWebサイトを通じて領事館に提出しなければならない書類だ。このような事務作業はどうしても後回しにしてしまう。未だやらねばならない作業がいくつか残されていたが僕はこの十分程度の作業で精根尽きてしまい学校を後にした。

そういえばちゃっかりとチーズタッカルビ会の約束もこの時に取り付けておいた。

 

 

 

この日はもう一つ、放課後にしたいことがあった。否、しなければならないことだと言っても過言ではないことだ。というのは可及的速やかにズボンを1、2着購入するという急務だ。

僕はケアンズの気候について詳しく調べずに日本を出てしまっていた。6~8月についてはオーストラリアは冬であり、昼間は暑いものの、朝夕については割と肌寒い。僕は日本から長ズボンを2着しか持ってきていなかった。ほとんどがフィリピン仕様で半ズボンばかりだった。赤道に近いケアンズでも寒いのだから今後、別の都市に移ることを考えると冬仕様の服装は必要だ。

もちろんケアンズに到着した週に安さが売りのKマートで長ズボンを探したのだが、そのほとんどが明らかにでかすぎるのだ。一番小さいサイズでも日本のLサイズはあるのではないか。

典型的日本人体型の僕の足には太すぎるし長すぎる。それになんといっても、、、、、すごく垢抜けないデザインが好きになれなかった。この物価高のオーストラリアでズボン1着が8ドルからというのだから文句は言えないが、買うのにためらってしまっていた。

かといって他のテナントは自分が求める値段層よりも大分上になる。ふと入った服屋の薄いセーターが100ドルして、僕は心が折れてしまった。

 

そこで僕は他のショッピングモールに行くことにしたのだ。その名もDFO。何かの略称だが忘れてしまった。ここはジョセフィーナも推していて、ケアンズセントラル(Kマートの入る大規模ショッピングマート)になければここに行け、とのことだった。

 

 

DFOに行くには普段のショートカットではない大回りの帰り道を通らねばならないが致し方ない。車通りの激しいケアンズの大動脈を僕は爆走した。特に急ぐ意味はなかったが。

 

 

 

DFOは想像以上に大きいショッピングモールだった。店揃いはケアンズセントラルには負けるものの、スーパーマーケットコールスを始め、ドーナツ屋、酒屋、オーストラリアでは初めてみるゲームソフトショップなども入っている。もうシーズンを過ぎてセール棚に入れられたPS3のソフトすら2500ドルもしたので入店はしなかったが。

 

 

僕は目当ての服屋ゾーンに向かい、片端からズボンを物色する。しかしどこもでかい。ラルフローレンはデザインについては気に入ったが、やはり高い。僕は数店の服屋に入った段階で購入を諦めた。明日からは半ズボンで登校することにしよう。

 

 

DFOを手ぶらで出た僕の次の目的地は景色と居心地の良い場所だった。昼食からサンドウィッチを一つ余らせていたので、帰宅前にどこか良い場所を見つけて、そこで食べようと思いついたのだ。どうせ食べるならばいい場所で、ということだ。

ところが景色の良さと居心地の良さが合致する場所がなかなか見つからない。景色がいい場所でも座るには適していなかったり、座ることはできても目の前が殺伐としたハイウェイだったり。諦めて僕は景色の良さを捨てることにした。自転車に乗っている間に晴れ渡った空をみることができたからだ。

 

そこから家に帰りすぐ夕食に着く。今日のメニューは鳥肉と小さなマカロニがごろごろ入ったカレー、牛肉のミンチとサヤエンドウを煮たもの、ニンジンやタロを煮込んだものだった。このタロというものは日本ではタロイモと呼ばれるものだ。そういえばトムの故郷コックアイランドでは、このタロとタピオカが主食らしい。黒くて丸い塊ではなく、あれの原料の方らしい。正直まったくイメージがつかない。

カレーはそれぞれ家庭の味があるのだろうが、ジョセフィーナのカレーは割とサラサラとしていて薄味だ。野菜が入っていないのも特徴かもしれない。マカロニはしっかりと日が通っており柔らかく、食感的には豆腐のようだった。カレーが好きなわりに外食はしないので、そういえばフィリピンでもほんのたまに食べるぐらいだった。また次はいつ食べられるかわからないのでしっかりと食べておいた。

牛とサヤエンドウの煮たものは、日本でも良く煮たものを食べたことがある。おそらく時雨煮的なものだろう。これも味付けについては薄味でBEGETAという豪州特有の調味料を足して食べた。フィリピンにいた時はよくAJINOMOTOを目にしたが、ここの人たちはそれらをガンの元だといって嫌がる。日本のレストランでは化学調味料を随分と使っているが、我が国のガン患者の多くがそれに起因しているとは思えない。どちらにしても僕は美味しければなんでも構わない主義なので、AJINOMOTOでもBEGETAでもなんでも来い、だ。

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食後、僕は豪州の服の大きさと値段の高さについての不平をジョセフィーナに述べた。どこかにいい服屋はないものか。ジョセフィーナは僕に一つの提案をした。「古着屋を利用してみてはどうか。」

なんだ、そんな今の僕にうってつけの場所があるならば早く教えてくれればいいものを。明日早速行ってみようと言ったところ、なんとその古着屋は平日は9時から15時までしか開いていないらしい。僕の学校は14時30分まであるのでそこから足を伸ばすことはできない。そういうことでジョセフィーナに次の土曜日に連れて行ってもらうことになった。休日に至っては9時から11時までしか開いていないということなのでさらに驚いたが。何れにせよ決まりだ。土曜日には安くてフィットするズボンを大量に手に入れるだろう。

 

 

 

 

この夜は、どうやらトムとポーラ二人は映画を見に行くようだ。物価高のオーストラリアでも、否、ケアンズだけかもしれないが値段は日本と同じ程度だ。これは豪州が安いのか日本が高いのかわからないが。どうやら火曜日は安く見られるらしい。それでも12ドルなので、しばらく僕は見ることがなさそうだ。

 

 

家に残った僕とジョセフィーナは普段通りテレビを見て過ごした。マスターシェフという料理技術を競うらしい番組では4人のシェフ達が延々と何種類ものジェラートを舐めて味当てゲームをしている。僕はできるならば魚や肉を豪快に捌くパフォーマンスが見たい。

そのうち僕は眠くなってきて眠ることにした。深夜1時、サッカーを観戦していたトムの絶叫で目を覚ましたことだけ覚えている。

 

(写真はホストハウス先の猫スモーキー。ジョセフィーナはこの猫の性別を把握していない)

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